普段はエンジニアとして働いており、不動産業についてあまり関わる機会がなく、知識がありません
ただ、今回の案件が不動産関連のシステムであるため、最低限の背景知識は持っておきたいと思い、要点を簡単にまとめました。
そもそも不動産とはなに
不動産とは土地と建物とされているようです
| 不動産に含まれる | 不動産に含まれない |
|---|---|
| 動かせないもの 樹木、物置 | 動かせる 物干しざお、植木鉢 |
| 容易に取り外せない キッチン | 取り外せる カーテン、証明 |
不動産業は下記のような様々な業態の総称です

不動産業界の参入
不動産業界は、他の業界に比べて参入のハードルが低いのが特徴です。初期投資が比較的少なくて済み、必要な資格(宅建士)があれば事業を始められるためです。
そのため、小規模な事業者や家族経営の会社が数多く存在します。
ただ、競争が激しく景気の影響も受けやすいため、廃業や休止をする事業者が多いのも事実です。「入りやすく、続けるのが難しい」側面を持った業界と言えます。
不動産事業は「事業主かどうか」で業態が大きく分かれる
不動産業は、事業主として主体的に不動産を扱うか、サポート側として関わるかで業態が異なります。
事業主の場合は、開発事業・分譲事業・不動産証券化事業など、物件を自ら企画・保有・販売する業務が中心です。
一方、事業主でない立場では、流通事業(仲介)やビル・マンション管理、賃貸・管理業務など、サポートや運用が主体となります。
同じ不動産業でも、関わり方によって役割や必要な知識が大きく変わる点が特徴です。
不動産業、建設業、金融業の3つは、切っても切れない強力な相互依存関係
3つの業界の基本的な役割
- 不動産業(企画・販売・運用):プロデューサー
- 「ここにマンションを建てたら売れる」「ここに商業施設があれば人が集まる」といった市場のニーズ(顧客の声)をキャッチし、事業を企画します。土地を用意し、最終的に顧客へ届けます。
- 建設業(設計・施工):メーカー(製造)
- 不動産業者の企画に基づき、実際に安全で質の高い建物を形にします。技術力と労働力を提供します。
- 金融業(資金供給・審査):スポンサー
- 不動産開発には莫大な資金が必要です。その資金を融資したり、投資家から集めたりします。事業の実現可能性やリスクを審査する役割も担います。

不動産業の分類
不動産事業は5つに分離されます
- 開発・分譲
- 流通
- 賃貸管理
- ビル・マンション管理
- 証券化
不動産業に関連する主な法律
| 法律名 | 主な内容 / 目的 |
|---|---|
| 宅地建物取引業法(宅建業法) | 不動産取引のルールを定める。重要事項説明、契約書面、免許制度など。 |
| 建築基準法 | 建物の安全確保のための最低基準を定める。用途地域・高さ制限・構造基準など。 |
| 都市計画法 | 土地利用を計画的に進めるための法律。用途地域・開発行為の許可など。 |
| 不動産登記法 | 不動産の権利関係(所有権・抵当権など)を公示するための制度を定める。 |
| 土地基本法 | 土地に関する基本原則を定める。公共性や有効利用に関する指針。 |
| 区分所有法 | マンションなどの区分所有に関するルール。専有部分・共有部分の扱いなど。 |
| 賃貸借契約に関する民法 | 賃貸借契約の基本ルール。権利義務、更新、原状回復など。 |
| 借地借家法 | 借地・借家の権利を保護する特別法。契約更新、立退きなどの規定。 |
| 景品表示法 | 不当な表示や誇大広告を禁止(不動産広告の基準にも影響)。 |
| 消費者契約法 | 契約における消費者保護。重要事項の説明義務や不当条項の無効など。 |
流通事業に関して
流通事業は、不動産を「売りたい・貸したい」と「買いたい・借りたい」を繋ぎ、既存物件を市場で循環させる役割です。
主に、売主と買主の間を取り持つ一般的な「媒介(仲介)」、事業主の代理として販売を担う「販売代理」、中古物件を買い取り再生して再販する「リノベーション」の3つがあります。
システムとしては、物件情報と顧客情報のマッチングや、契約プロセスの管理が中心となる領域です。

賃貸管理事業について
賃貸管理事業は全不動産事業のうち7割ほどを占めてます
集客に重要な不動産情報サイト
年々ITツールでの集客が増えています
個人大家業(賃貸事業)について
個人大家業とは、個人がマンションの一室やアパート一棟、戸建てなどを所有し、それを人に貸し出すことで家賃収入を得る事業のことです。 いわゆる街の「大家さん」がこれに該当します。
不動産業界の分類図にあった「賃貸業・管理業」の中で、自らが資産(物件)を持って事業を行う主体です。
所有者であり経営者
彼らは単なる投資家ではなく、不動産賃貸という「事業の経営者」です。 入居者が決まらなければ収入はゼロですし、建物の老朽化や設備の故障があれば修繕費用が発生します。 「いかに長く入居してもらい、安定したキャッシュフロー(家賃収入)を維持するか」が最大の関心事です。
不動産証券化事業
証券化事業とは、一言で言うと「不動産を金融商品(株のようなもの)に変えて、投資家から資金を集める仕組み」のことです。
これまでの「売買」や「賃貸」は、基本的に「現物(土地や建物そのもの)」のやり取りでした。 しかし、例えば「六本木ヒルズ」のような数百億円、数千億円する巨大なビルは、普通の会社1社では簡単には買えません。
そこで、「このビルが生み出す家賃収入を受け取る権利」を細切れの証券(チケット)にして、たくさんの投資家に買ってもらう、というのが証券化の基本的な考え方です。

